フランチャイズビジネスでは、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)間での訴訟問題が後を絶ちません。
どちらかに問題があるケースが多いのですが、訴訟時のキーとなるのは間違えなく加盟契約書そのものでしょう。
加盟店には自己責任の原則がありますが、ある意味それと反するのが店舗運営に対する不自由さだと主張するケースも多いです。
また以前あったのが、加盟したのに出店できないというケースです。
特に某コンサルティング会社が行っていたエリア販売による加盟開発では、そのエリアの出店枠を押さえようと、複数加盟したが、物件が出てこないなどの理由で、出店できない加盟店が多数存在しました。
更にその際に契約締結を急ぐため、事業や契約内容を十分に理解させなかったことが後々に問題となり、訴訟にまで至るケースもありました。
また、環境の変化により従来の契約書や従来のビジネスモデルでは解決できずに訴訟となるケースもあります。
例えば「ロスチャージ訴訟」です。
業界最大手のコンビニエンスストアとその加盟店との間で起こった訴訟問題ですが、ロスチャージとは販売期限切れで廃棄された商品に対しても、ロイヤリティーがかかるということです。
一見、普通のように見えますが、コンビニエンスストアでは、利益に対してロイヤリティがかかることになっています。
例えば、販売価格が150円。原価が100円の商品が3個あった場合、3個売れれば、売上450円に対し原価300円なので、利益の150円に対し、ロイヤリティがかかります。
しかし、2個しか売れず、1個は廃棄した場合、本来は売上300円に対し、原価は300円なので、利益0円。
よってロイヤリティーは0円かと言うと、そうではありません。
売上300円、原価200円で利益は100円となり、それにロイヤリティがかかるというのです。
もちろん、加盟店は本部に対し、3個の商品を仕入れているのですから、200円ではなく300円を支払います。
参考)コンビニエンスストアにおけるロイヤリティの計算方法
ロイヤリティの金額
=売上総利益×ロイヤリティ率
={売上高-(売上原価-廃棄ロス原価-棚卸ロス原価)}×ロイヤリティ率
={売上高-(期首在庫+仕入-期末在庫)+廃棄ロス原価+棚卸ロス原価}×ロイヤリティ率
={(売上高-期首在庫-仕入)+(期末在庫+廃棄ロス原価+棚卸ロス原価)}×ロイヤリティ率
※中小企業庁発行「フランチャイズ事業を始めるにあたって」参照
この問題は最高裁まで争われ、本部側の逆転勝訴で幕を閉じました。
この他にも、見切り販売問題や加盟店の労働組合化など、コンビニ業界では訴訟問題が多くありますが、この原因は環境変化に基づくものだと考えられます。
こういった訴訟問題が起きた場合、本部や加盟店はどのようにすれば良いのでしょうか。
まず加盟店側は、同様に弁護士に相談すべきですが、相談する際は「フランチャイズ加盟相談センター」という国家資格者が相談窓口となり、相談対応してくれるサイトがありますので、そこから相談することをお勧めします。
また、本部側は私どもにご相談ください。
私どもでは、フランチャイズ業界に明るい弁護士をご紹介いたします。
まだ訴訟は起きていないという本部様も、本当に貴社の契約書は問題ありませんか?
私も経験がありますが、弁護士と言えども、数多くの法律があるため、得意分野は別れてしまいます。
特にフランチャイズに関して、本当に得意と言える弁護士はごくわずかです。
多くの弁護士は、殆ど携わることがありません。
もちろん専門家ですから、契約書作りはできます。
しかし、それが適切な契約書かどうかは別の話です。
同様のケースで、弁護士が作った契約書に問題があったことがあります。
ですので、自分で他社の契約書を基に作成したという方はもちろん、専門でない弁護士に作成してもらった方も、訴訟が起きる前に契約書をチェックしてもらうことをお勧めします。
何かあってからでは、契約書チェックの金額レベルではない金額を支払い、世間からも冷たい目で見られることになるかもしれませんので。