フランチャイズビジネスでは本部と加盟店が争うケースが少なくありません。
しかし、これ以外のケースで本部が争うケースがあります。
そしてその争いの内容を見る限り、「このようなことをして、加盟店はもちろん消費者に対しても優良とは思えない」と感じるケースもあります。
ここではフランチャイズの関係者に対し、お目通りしていただくのが有用かと思われるものをご紹介します。
最初にご紹介するのは、独自のノウハウや商品・サービスを持つコンテンツホルダーに言葉巧みに近づき、その知的財産権を所有してしまうというケースです。
このケースでは、フランチャイズ展開をするための会社を全て自社の費用で立ち上げる、つまり株式を100%有するもしくは経営上の決定権をコンテンツホルダーが持てない状態で展開するのです。
ノウハウ等を持つコンテンツホルダーには、「利益は折半」「顧問料を払う」など、営業や経営といった不得意な分野は自社でやるという餌を撒き、知的財産権を全てフランチャイズ展開をする会社に移していきます。
もちろん商標や特許などもフランチャイズ本部に必要ですから、会社名義で登録してしまいます。
そしてしばらくは顧問料などの名目で料金が支払われますが、あるタイミングでコンテンツホルダーを会社から追い出すもしくは顧問契約を破棄するのです。
実際に健康分野(ダイエットやボディメイクを含む)のフランチャイズで2社、訴訟が起きています。
1つは和解、1つは民事裁判で争われています。
どちらもメディア等へ多数出ているコンテンツホルダーから知的財産を詐欺的に奪い取り、今でもフランチャイズ展開を進めていると言われています。
フランチャイズ展開する会社から追い出されるだけなら、自信のノウハウ等を基に再度やり直すことも可能でしょうが、知的財産を奪われたため、その活動にも制限が出てしまっています。
もちろん、上記の2件とも合法であり、法律的には問題はありません。
知的財産を奪われたコンテンツホルダーが無知だったと言えるでしょう。
このようなケースのお話を持ちかけられている方は、「早く契約しないと進められない」など早く契約を締結することを迫られていても、まず私どもや弁護士に相談してから契約することをオススメします。
本ケースは違法ではないのですから、私どもはあくまで事例をご紹介しているだけです。
小売業や飲食業のフランチャイズでありながら、法定開示書を提示していない本部には注意が必要です。
なぜなら、中小小売商業振興法に違反しているからです。
法定開示書とは「中小小売商業振興法第11条第1項、同法施行規則第10条の規定により、フランチャイズ契約を締結する時に、本部が加盟希望者に対して、あらかじめこの書面を渡し、その内容を説明しなければならないとされている書面」です。
もしそのような違法な本部を見つけた時には、ご相談ください。
また、サービス業は対象外ですが、法定開示書を用意していない本部は違法ではないものの、会社の業績や加盟店の状況を確認するなど、注意すべきでしょう。